クリエイティブチーム Do it Theater(ドゥイット・シアター)がテーマごとにおすすめの映画を3作品紹介する、連載《土曜日のシネマサロン》。
第106回目のテーマは、「コーヒーが飲みたくなる映画」です。
現在、受注販売中のオリジナルブレンドをお届けする「FUDGEコーヒー便」との連動企画。
Do it Theaterの阪実莉(さか みのり)です。この連載はDo it Theater女子部が様々な切り口のテーマで、おすすめ映画をリレー方式でご紹介しています。
すっかり秋ですね。お洋服も完全に衣替えをして、毎日コーディネートを考えるのが楽しい日々です。毎朝飲んでいるコーヒーもアイスからホットに変わり、季節をしみじみと感じています。前回に引き続きコーヒー繋がりで、今回は「コーヒーが飲みたくなる映画」をテーマに、『かもめ食堂』『珈琲時光』『A Film About Coffee』の3作品をご紹介します。FUDGEがオリジナルブレンドのコーヒーをお届けする“FUDGEコーヒー便”。みなさまゲットされましたか?
シナモンロールとコーヒーが恋しくなる、ほっこり日常系作品
Illustration_skpn
title:『かもめ食堂』
【story】
サチエ(小林聡美)はフィンランド・ヘルシンキの街角でおにぎりがメインの小さな食堂、“かもめ食堂”を始めるが、客は一向にやって来ない。そんなある日、サチエは偶然本屋で日本人旅行客のミドリ(片桐はいり)と知り合い、店を手伝ってもらうことに。やがてサチエの店には、日本かぶれの青年や気ままな旅を続ける日本人女性など個性豊かな人々が次から次へとやって来るようになる…。
* * * * * * * * * * * * * * * *
言わずと知れた、 荻上直子監督の代表作。ご存知の方も多いのでは?フィンランドの首都ヘルシンキにある小さな食堂を舞台に、3人の日本人女性の穏やかで温かい日常を描いたほのぼの作品です。なんと、邦画初のオールフィンランドロケだそう。
フィンランドの景色やおおらかな北欧の人々に癒されながら、ゆったりと時間を過ごせる本作ですが、人生を楽しむために大切なこともしっかりと教えてくれる作品です。心も体も健康に、ポジティブに毎日を過ごしながら大切に人生を送ること。私がこの作品を観たのは10年以上前ですが、メッセージは今でもしっかり心に刻まれています。
そしてなんといっても本作で忘れられないのが、おまじないをかけた美味しいコーヒーと、大きい砂糖の塊がついたシナモンロール。あまりに美味しそうで、仕事と生活に疲れてくると、ふと心の中にかもめ食堂を思い浮かべるようになってしまいました。読者の皆様もこの映画を観た後は、「コーヒーが美味しくなるおまじない」をついつい、かけてしまうことでしょう…!
コーヒータイムのまったりとした雰囲気を感じられる作品
Illustration_skpn
title:『珈琲時光』
【story】
2003年夏、東京。ある日、フリーライターとして暮らす陽子(一青窈)は、台湾にいる恋人との子供を妊娠していることに気づくが、結婚はせずシングルマザーの道を選ぼうとしている。一方、神保町の古本屋店主を営む親友の肇(浅野忠信)は、胸に秘めた陽子への想いを告げられないまま。周りの助言には耳を貸さず、マイペースに過ごす陽子だったが、東京の街で過ごすうちに自分の周りの大切なものに気づき始める…。
* * * * * * * * * * * * * * * *
小津安二郎の生誕100年を記念し、彼を敬愛する台湾の巨匠ホウ・シャオシェンが『東京物語』のオマージュという形で映画化した本作。ちょうど今開催されている第36回東京国際映画祭でも小津安二郎監督の生誕120年記念企画が行われていますね。カメラワークから感じる小津映画らしい雰囲気を纏いつつも、1990年代後半から2000年代初頭のアジア映画で見られる澄んだ空気感もある作品です。
タイトルは「コーヒータイム」という意味で、“コーヒーを味わうようなひととき”というテーマで作られています。作中でコーヒー自体が印象的に描かれているわけではないのですが、日常の中でコーヒーを飲んで「ふぅ」と一息ついてゆったり時間を過ごすような、概念としてのコーヒーを表現しています。自然体な主演2人のお芝居も相まって、まるで彼らと同じ時間を過ごしている感覚になります。また、都電の車窓から見る並走している電車や、神保町の古書店街など、日常で目にするどうってことない街並みが美しく切り取られており、外国人監督ならではの、魅力的な生活感も感じられますよ。
週末にコーヒーを飲みながら、落ち着いて時間を過ごしたい方へお勧めしたい作品です。
“スペシャルティコーヒー”のドキュメンタリー作品
©︎2014 Avocados and Coconuts.
title:『A Film About Coffee』
【story】
わたしたちの暮らしに欠かすことができなくなった“コーヒー”。あの赤い果実がどのようにして、目覚めの一杯になるのか?生産、豆の選定、精製、焙煎、抽出など、普段目にすることがないコーヒー豆の遙かなる冒険を描く。「ブルーボトルコーヒー」創始者のジェームス・フリーマンや、今はなき名店「大坊珈琲店」のオーナー大坊勝次など、世界のコーヒーカルチャーを牽引するプロフェッショナルたちの熱き仕事ぶりと哲学を追うことで、大きなコーヒー・ムーブメントの“今”が鮮やかに浮き彫りになっていく。
* * * * * * * * * * * * * * * *
ここ数年コーヒー専門店が増え、世界的にも盛り上がっている本格志向のコーヒーカルチャー。本作では「究極のコーヒー」とは何かを解くべく、コーヒーに人生を賭けるプロフェッショナル達とともに、Seed to Cup(種からカップまで)を美しく愛情たっぷりに撮影しています。
作中ではニューウェーブを牽引する若き旗手から伝説の名喫茶店主まで、幅広く作品へ登場しますが、日本からはあの表参道の名店「大坊珈琲店」や下北沢の「BEAR POND ESPRESSO」などがフューチャーされています。コーヒーの伝道師とも言える彼らが研ぎ澄まされた所作でコーヒーを淹れる様子は美しく、まるで芸術作品の様でした…。
我こそはコーヒーギーク!という方にはぜひ観ていただきたい作品です。ギークでない方も、ぜひ本作をきっかけに奥深いコーヒー沼にはまってみてください。観た後はよりコーヒーのことを愛おしく、美味しく感じられるはずです。
今回は、「コーヒーが飲みたくなる映画」をテーマに、『かもめ食堂』『珈琲時光』『A Film About Coffee』の3作品をご紹介しました。ジャンルの違う3作品なので、コーヒーへの気持ち次第でセレクトしてみてくださいね。コーヒーが飲みたくなること間違いなしです。
☞映画を見ながら、コーヒーが飲みたくなったら!現在、受注販売中のオリジナルブレンドをお届けする「FUDGEコーヒー便」をチェック!
『かもめ食堂』
『珈琲時光』
2003年 日本 103分
DVD好評発売中
DVD価格:¥3080
発売販売元:松竹
© 2003松竹株式会社/朝日新聞社/住友商事/衛星劇場/IMAGICA
※2023年10月時点の情報です
『A Film About Coffee(ア・フィルム・アバウト・コーヒー)』
【DVD仕様】¥3888
阪実莉(さか みのり)
北海道札幌市出身。学生時代は、ドキュメンタリーと心理学を専攻。野外上映・空間演出の分野で活動したのち、現在はDo it Theaterでアートディレクター・プロデューサーをしながら猫と暮らしています。人生のバイブル作品は映画『あの頃ペニー・レインと』、漫画『NANA』。ホットコーヒーは、酸味の少ないどっしりめが好みです。
●Do it Theater(ドゥイット・シアター)
“あたらしいシーンは、Theaterからはじまる”をテーマに、シアター体験を作り出すプロデュース&クリエティブチーム。FUDGE主宰の「Holiday Circus(ホリデーサーカス)」ではコンテンツクリエイションとして参加。また 累計5万人以上が来場した野外シアター「品川オープンシアター」や横浜赤レンガ倉庫・マリンアンドウォークヨコハマなど5会場同時開催の「SEASIDE CINEMA」、ミニシアター支援を目的とし全国5箇所でキャラバン開催したクラウドファンディングプロジェクト「ドライブインシアター2020」など、映画を観るだけではない、総合演出された新しいスタイルのシアター体験を全国に作り出しているチームです。
www.ditjapan.com
design_Koinuma Kenichi
edit_Takehara Shizuka