クリエイティブチームDo it Theater(ドゥイット・シアター)がテーマごとにおすすめの映画を3作品紹介する、連載《土曜日のシネマサロン》。第113回目のテーマは「切ない、許されない恋」です。
Do it Theaterの洲崎真紀子(すさきまきこ)です。この連載はDo it Theater女子部が様々な切り口のテーマで、おすすめ映画をリレー方式でご紹介しています。
今回は「切ない、許されない恋」をテーマに、『ひるなかの流星』『君の結婚式』『ジョー・ブラックをよろしく』の3作品をご紹介します。バレンタインデー目前ということで、切ないながらも「恋っていいな」と思える作品たちをセレクトしてみました。ぜひ、チェックしてみてください。
全力で恋する主人公を、応援せずにはいられない。
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title:『ひるなかの流星』
【story】
恋愛未経験の与謝野すずめは、転校先の高校で、上京初日に迷子になっていたところを助けてくれた獅子尾と再会。なんと彼は担任教師だった。一見軽そうだけど優しくて面倒見のよい彼に惹かれていくすずめ。だが、獅子尾は教師という立場から素直になれずにいた。そんななか、すずめはクラスメイトの馬村から告白されて…。
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原作は、女子中高生の「初恋のバイブル」として人気を博す、やまもり三香の同名少女漫画。永野芽郁が映画初主演を務めたことでも、注目を集めました。教師と生徒の恋ということですが、モラルについての議論は別として、ピュアで真っ直ぐな想いが爽やかなラブストーリーです。
恋してはいけない相手と頭では分かっていても、好きな気持ちは誰にも止められない。淡い恋心にフタをして考えないようにしたってモヤモヤしちゃうし、姿を見れば胸がキュンとする…。恋愛をしたことのある人なら、誰しも共感できるはず。初々しい恋の行方を見守っていたら、自分の初恋を思い出すかも。
主人公のすずめが、恋を通じて成長するところも見どころです。自分自身と向き合って、どんな時も前を向いて進もうとする様子に勇気づけられますよ。バレンタイン前に見るのが、おすすめです。
出会えたことに感謝できる恋は、いい恋です。
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title:『君の結婚式』
【story】
高校3年の夏、転校生のスンヒに一目惚れをしたウヨン。スンヒをしつこく追いかけ回し、アプローチを続けてついに恋人同士になれそうだったが、「元気でね」という1本の電話を残して彼女は姿を消してしまった。諦め切れないウヨンは、1年後、スンヒの行方を追って同じ大学に合格したが、彼女の横には彼氏がいて…。
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続いては、韓国で動員200万人突破を記録した大ヒット恋愛映画です。「僕の」でも「私の」でもなく、『君の結婚式』ということで、タイトルからある程度展開が予想できるかもしれませんが、決して悲しい恋の物語ではなく、許されないというよりは、叶わぬ恋といったところでしょうか。
ストーリーのメインは、すれ違い続けた男女の10年分の思い出で、甘酸っぱい初恋から大人の恋まで、テンポよくコメディタッチで描かれているのが好印象です。切なさポイントは、タイミングという運命の残酷さ。あの時ああしていたら、こうしていたら…後悔とともに込み上げるやり切れない気持ち。思えば、それも全て恋の醍醐味なのですね。
ラストの演出も、グッときます。一途な想いを胸に、主人公が選んだ初恋の結末はいかに。個人的には、ラストカットで号泣でした。最後までどうぞお見逃しなく。
死神の初恋は、切ないに決まってる!
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title:『ジョー・ブラックをよろしく』
【story】
大富豪パリッシュの愛娘・スーザンは、コーヒーショップで青年と出会い、心惹かれ合う。しかし青年は、彼女を見送った直後に事故で亡くなってしまう。同じ日、パリッシュの前に死神が現れ、人間の世界を案内してほしいと話す。パリッシュは戸惑いながらも死神を受け入れ、ジョー・ブラックという名で家族に紹介するが…。
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最後は、死神と人間の女性の恋を描いたファンタスティックラブストーリーです。死神のジョー・ブラックを演じたのはブラッド・ピット。とにかく美しいです。
物語の前半は、ジョーとスーザンの甘い恋模様にスポットが当てられていて、ドキドキが止まりません。でも、そこは死神と人間の恋。正体を隠したままハッピーエンドとはいかず、秘密を抱えて苦悩するジョーの姿に、切なさが募ります。寂しそうな瞳でスーザンを見つめるシーンも、胸が締め付けられる思いでした。
そんな恋の苦しさを経験して迎えるクライマックスにも注目です。アンソニー・ホプキンスが演じるパリッシュの名セリフに全てが詰まっているのですが、恋だけじゃなく人生についても考えさせられますよ。
今回は「切ない、許されない恋」をテーマに、『ひるなかの流星』『君の結婚式』『ジョー・ブラックをよろしく』をご紹介しました。どんなに切ないシチュエーションでも、好きな人を想う登場人物たちを見て「やっぱり、恋っていいな」と思える作品たちです。ぜひ、恋の季節にチェックしてみてください。
『君の結婚式』
2018年 韓国 110分
DVD:4,180円(税込)
発売元:クロックワークス 販売元:TCエンタテインメント
『ジョー・ブラックをよろしく』
1998年 アメリカ 181分
発売元: NBCユニバーサル・エンターテイメント
洲崎真紀子(すさきまきこ)
これまで興行会社やNPOで映画関連事業に携わる。現在は小さな娘と一緒に映画を楽しむ方法を模索する日々。ごほうびチョコ、買いました。
●Do it Theater(ドゥイット・シアター)
“あたらしいシーンは、Theaterからはじまる”をテーマに、シアター体験を作り出すプロデュース&クリエティブチーム。FUDGE主宰の「Holiday Circus(ホリデーサーカス)」ではコンテンツクリエイションとして参加。また 累計5万人以上が来場した野外シアター「品川オープンシアター」や横浜赤レンガ倉庫・マリンアンドウォークヨコハマなど5会場同時開催の「SEASIDE CINEMA」、ミニシアター支援を目的とし全国5箇所でキャラバン開催したクラウドファンディングプロジェクト「ドライブインシアター2020」など、映画を観るだけではない、総合演出された新しいスタイルのシアター体験を全国に作り出しているチームです。
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edit_Takehara Shizuka